2019年に発売し、海外で高い評価を得ることが出来た、
高出力MCカートリッジ「SETO-HORI」。
今回はヘッドシェルと一体型にすることで、より精緻な音を目指し、
「SETO-HORI REMODEL」としてリニューアルいたしました。
一体化されたアルミと銅の合金のブロックから削り出されたヘッドシェルと、
陶磁器ボディカートリッジ部の重心点は、
トーンアームの中心線上に配置されるようにデザインされており、
トーンアームの持つ最適な感度でレコードをトレースします。
また、ネジなどを介さず一体化されたボディは、粗雑な共振を大幅に低減させます。
JICOのオリジナルMCカートリッジ「SETO-HORI」の陶磁器ボディの特性が、
ヘッドシェル材質やその取付け方法によって、最大限に生かされていない状況がありました。
そこでNEUMANN(ノイマン)製カッティングヘッドの振動系を完全にコントロールする為の手法に着想を得て、
ヘッドシェルとカートリッジを完全に一体化したモデルが、「SETO-HORI REMODEL」です。
徹底した振動系と磁界特性へのアプローチは、
極めて高い解像度とワイドなダイナミックレンジを作りあげました。
繊細な息づかいと音の隙間をお楽しみ下さい。
「瀬戸彫」カートリッジの最大の特徴である陶磁器ケースは、絶縁特性、低い透磁率と保磁力により、MC内の微細な磁界特性の外部干渉を最低限に抑えます。
陶磁器は「型取り」の後、「焼き」を入れた際の収縮率が30%程度と大きく、一つ一つの形状が一定ではないため量産化は困難でした。しかし、JICOは独自のデザイン形状を愛知県瀬戸市の工房と制作し、岐阜県土岐市織部焼の窯元と2年間に渡り収縮率の検討を重ね、ようやく量産化を実現しました。
焼結工程終了後、JICO本社クラフトマンによって、全数で手作業による陶磁器ボディの修正仕上げが行なわれ、MCエンジンの組み立てを行ないます。
多面体で寿命が通常のレコード針の3倍以上の「マイクロリッジダイヤモンドチップ」を搭載。
カンチレバーにはしなりが多く低域の再現性が高い鉱物「ボロン」を採用しました。
カートリッジのリードワイヤーは、Koike Analog Factoryにて専用リード線を製作しました。
29mmのプラス側の線材は、オヤイデ102SSC 0.28mm 3本組。マイナス側は、日立OFC 0.18mm 8本組。高解像度の音を完全にサポートします。
陶磁器カートリッジをしっかり支えるヘッドシェル部は、アルミニウムと銅の合金のブロックから、5軸マシンで完全に削り出し、ムクボディにする事により、振動特性の均一化を図っています。
ヘッドシェル+カートリッジ本体の垂直方向重心位置が、トーンアームパイプの中心位置になるようなボディバランスセッティングにより、トーンアームのコンプライアンスのピポッド動作特性に忠実に追従します。
本体重量約27.5gという重さでトーンアームバランスを取る事により、上下動の振幅を低い周波数に抑え、スタイラスサスペンションへのストレスを最低限にしています。
また、カートリッジとヘッドシェル間には、透磁率10μの電磁波ノイズ吸収シートをはさんで、磁気特性の変化特性の対策を試みています。